これまでmanaponoでは持続可能な農法でつくられた有機野菜を使用したカフェやレストラン、
プラスチックごみを減らすエコラップなど、
地球の未来を考えた活動をされている方を何名もご紹介してきました。
先日ご紹介した「Chikyu」さんもそうでしたね♪
今回ご紹介するのは、Chikyuさんの内装を手掛けた建築士事務所「アトリエ momo」さん。
“地球”と“住む人”を想った持続可能な家づくりに取り組んでいます。
建築士・櫻井 百子さんにお話しを伺ってきました!!
目次
家づくりのツアーコンダクター
manaponoの読者さまの半数を占める“子育てママ”さん。
中には、今後“マイホームの購入”を検討している方もきっと多いはず。
そのとき、皆さんはどのように家をつくりたいと思いますか?
最近では、安価な値段で家を建てられるハウスメーカー等を利用して家を建てる人が増えてきました。
しかし、それは既に決まった型に自分の色をはめていくようなもので、自由度が低く、大量生産のような家づくりになってしまいがちです。
櫻井さんが行うのは、お家が出来上がった後の“住む人の暮らし”を考えた、お客様と一緒に行う家づくり。
その人それぞれの住み方・生き方に寄り添って、プランや材料・デザイン・断熱仕様などを決めていきます。
時には、家を建てたいけど何から始めたら良いのか分からない、というご相談にも
旗を振って道案内をするツアーコンダクターさんのように、手取り足取りサポートをしてくれます。
地域のものを使って、地域の技術で家づくり
普通の建築と比べたときの、櫻井さんの家づくりの最も大きな違いは
「できる限り地球に負荷をかけない」家づくりを目指していること。
“次の世代に負担がかかるようなもので家づくりはしたくない”
という想いから、
・化学的につくられたもの
・人間の身体にとって良くないもの
・土に還らないもの
・処分にエネルギーのかかるもの
こういった材料や技術を最低限に抑え、人にも地球にも優しい家づくりを実践されています。
そんな櫻井さんのつくる家は、木材を基調とした優しい雰囲気のお家。
その木材には主に下川町で育ったものを使用します。
下川町は上川郡に位置する小さな町です。
面積の90%が森のため、林業が盛んに行われています。
そんな下川町には「森の生活」というNPO法人の団体があります。
林業の世界では、家具などに加工できる木材も、効率重視のために製紙用チップなどに加工されてしまうことがあります。
そこで、「森の生活」さんは、本来なら一緒に下ろされる木材を分けて山から下ろし、製材・乾燥を自分たちで行うことで、立派に育った木材を家具として活かす取り組みを行っています。
櫻井さんは、その姿勢やストーリーに感動して、「森の生活」さんの木材を活かす提案をしているそうです。
カウンター一つをつくるにしても、どんな木にするかお客様が悩まれていたときには
木材を実際に目で見て選んでもらうために、下川町まで車を走らせるほどの徹底ぶり。
櫻井さんがこのように木材にこだわる理由を尋ねたところ….
“お金は支払った先の人の「応援」になります。もし海外の木材を使用したら、運ぶことにも燃料が必要になりますし、私のお金はよく知らない外国人の元へ旅立ってしまいます。そうではなくて、地域の志のある方の中でお金が「循環」していけるように、地域のものを使って、地域の技術で家づくりがしたいんです。”
と、答えられました。
「持続可能な家づくり」というのは、地球だけでなく地域社会も持続可能にするという意味も含む、もっと奥の深いものだったのです。
娘を嫁にやる父親のような気持ち
櫻井さんに、これまで作った家のお話しを伺うと、
「以前倶知安町で手掛けた家の建て主さんは、3人の息子さんがいたんです。やんちゃな年ごろの男の子が走り回って遊べるつくりにしたくて、2階は間仕切りのない空間にしました。建て主さんも、息子さん方も喜んでくれて嬉しかったです!
建て主さんはDIYが得意だそうで、大きくなった息子さん方のために、棚などで仕切りをつくり、個室をつくってあげたと聞きました!
今ではもう一人増えて、息子さん4人で家中を走り回っているんだそうですよ(^^)」
と、終始嬉しそうに話してくださいました。
家が完成すれば、本来なら会うことは無くなってしまうはずの関係ですが、櫻井さんは「家の完成はゴールではなく、新しい暮らしのはじまり」だと考えていらっしゃいます。
「そのきっかけをつくるのが設計士の仕事で、お引き渡しのあとも関係が続いていくことがとても嬉しいです。
完成した家を建て主さんに引き渡す瞬間は、娘もいないし男性でもないのに、娘を嫁にやる父親のような気持ちになるんです。」
と笑う櫻井さんを見ていると、建て主さんとお家に対してどれだけの愛情をかけて家づくりをしているのかが伝わってきます。
どんな形でも、この方に家をつくってもらった人は幸せなんだろうなあ、と感じました…♪
櫻井さんが現在のような家づくりにたどり着いたのは、お子さんの誕生がきっかけ。
子育てを通して、環境への意識が強い方と出会い、自然と家づくりでも地球への影響を考えるようになっていきました。
そして、下川町環境共生型モデル住宅のエコハウス「美桑の家」を設計した際に、
地球と人を想ったベストな家づくりを形にする体験をした櫻井さん。
人にやさしい設計は、自然と地球にもやさしいものになると思っています。
その後の家づくりでは、材料の生産状況や予算の関係で、下川町のエコハウスのような仕様を100%実現できないことに悩んだこともあったんだそうです。
しかし現在では、クライアントの要望に合わせて「できる範囲の最大限」の配慮を行っています。
作っては壊すの繰り返しをするのではなく、一度作ったものを長い間大切にして育てていくことが一番、環境に優しいことにつながっていきます。
時がたって壊すことになっても、地球に負荷をかけない家。
このmanaponoの紹介記事が、北海道にそのような家を増やすきっかけになってくれると嬉しいです。
櫻井さんからのメッセージ
アトリエmomoはこころや環境に負荷の少ない設計を心掛けています。
思い出や場の記憶を大切に、できるだけ身近な素材でつくる、すまいを提案します。
できた時が完成ではなく、くらしを楽しむきっかけになればと思い、長く愛され、たいせつに守り育まれるようなすまいにつながれば幸いです。
一級建築士事務所 アトリエmomo
櫻井 百子
インフォメーショ
HP |
https://www.facebook.com/ateliermomo.arc/ |
連絡先 |
TEL 011-640-8411 E-mail atelier.momo@me.com |
住所 |
札幌市中央区宮ヶ丘2丁目1-1 ラファイエット宮ヶ丘303号 Platz.内 |
manaponoの輪~ありがとうファームさん
このコーナーでは、櫻井さんがオススメするmanapono仲間をご紹介♪
~紹介するお店~
無農薬・無肥料・自家採取の農園
ありがとうファーム
~推薦コメント~
野菜の定期購入などで
参加できるようになる会員制農園。
農作業の手伝いや
みんなで農家民泊のようにお泊り、
百姓体験ができる
つながりと発見の場です。
インタビューを終えて
静かに優しくお話しする櫻井さんのお人柄を知ってから
櫻井さんの手がけたお家の写真をみると、
写真から、櫻井さんの温かさが滲み出てくるような感じがします。
家はその人の人生をつくります。
そんな大切な家をつくるときは、自分の人生を想ってくれる方と一緒につくりたい。
と、何十年後かのマイホームの夢を膨らませた坂田でした♪
manapono編集部 坂田