北海道で育てられた羊の毛に、北海道の大地で育った草木。
北海道で生まれた素材を使用した北海道産セーターをつくる「Mother’s touch」さん。
円山にある工房にお邪魔して、小松さえみさんにお話を伺ってきました…
目次
北海道の自然から生まれた“道産セーター”
“北海道産”と聞くと、どうしても食べ物のイメージが先行しがちですよね。
旨味がギュッと凝縮された野菜たち、
寒さで身の引き締まった魚や貝類、
広大な大地で飼育される家畜たち。
しかし、資源の豊富な北海道の魅力は食べ物だけにとどまりません。
「Mother’s touch(マザーズタッチ)」さんは、
北海道で生まれた素材を活かした“道産セーター”をオーダーメイドで手づくりしています。
セーターに使用する北海道産の素材は大きく分けて糸・色・ボタンの3つです。
糸
マザーズタッチさんが使用する糸は、100%北海道で育った羊の毛。
小松さんは、紡ぎ機を使って手作業で糸を紡ぎます。
手作業で紡ぐことで糸に空気が入り、柔らかい手触りの糸が完成します。
そのため、機械で紡がれた糸のものに比べて、軽くて柔らかいセーターに仕上がります。
軽いのに、しっかり暖かい。
手間と時間をかけているからこそ、性能の高いセーターが出来上がります。
色
色は、マザーズタッチさんのセーターで私が一番好きなポイント。
糸の染色に使用するのは北海道産の植物や野菜。
つまり、道産草木染めなんです!
〈たまねぎの皮染め〉
〈いちい染め〉
〈こごみ染め〉
名前では表現し難いような、この微妙な色合いは自然素材だからこそ出せる色。
一度染めてしまえば2度と同じ色の糸をつくることはできません。
つまり、自分だけの唯一無二のセーターが完成するんです!
そして、染色された糸は生きているかのように、時と共に少しずつ色を変えます。
例えば、この写真の上の方の淡いピンクの糸。
初めは鮮やかなピンク色の糸が、30年経つとこんなに穏やかな色へと変化します。
30年、40年、50年….
大切に扱えば、人生を通して着用し続けることができるセーター。
色の変化で糸の“呼吸”を感じるのも、楽しみ方の一つです。
ボタン
子どもが脱ぎ着しやすいようにつけられた肩ボタン。
カーディガンなどのフロントボタン。
飾りボタン。
セーターに使われるボタンは十勝の家具屋さんが十勝で育った木を使用してつくるボタンです。
枝をぶつ切りにして加工した、木の温もりを感じる素敵なボタン。
北海道で育った木だと思うと、不思議と親近感が湧いてきます。
なにより、この不揃いな感じがたまらなく可愛いですよね(^^)
“Mother’s touch”とは、離れたところに住む母から届いた贈り物を開けるときに感じるあの何とも言えない懐かしい空気感のこと
これは小松さんが通っていた英会話の先生から教わったお話。
北海道を愛する道民がつくる、北海道の自然から生まれたセーターは
着る人に母なる大地・北海道への愛情と感謝の気持ちを思い出させる服です。
大量生産される安価なセーターを買えば、その場での出費は抑えられますが、
マザーズタッチさんのつくるセーターはそれとは比べられない“温かさ”を持っています。
ぜひ、多くの人に着用してみて欲しいと感じました。
ずっとやりたかったこと
マザーズタッチのセーターを編むのは、札幌に住む小松さえみさん。
公立中学校や児童発達支援施設で教師として働いていた小松さんは、
公務員として働く間、いつか手編みの作品を販売してみたいと考えていました。
定年退職を機に、念願だったセーターの販売をスタート。
服飾学校時代の2人のご友人(十勝在住)と協力して、現在は完全オーダーメイドのセーターをつくっています。
毛糸でジャケットを編んだり、ペット用のセーターを編んだり、
少し変わった作品に取り組まれているお三方。
オーダーメイドだけでなく、既製の毛糸を使ったセーターや手紡ぎ毛糸の販売も行っています。
子ども服やペット用セーター、オーナメントなど細々したものから、
カーディガンやセーター、毛糸で仕上げたコートなんかもありました。
女性用に編まれたセーターは、水仕事や家事をする際に腕まくりをして生地を痛めないよう、袖を少し短めに仕上げてあります。
女性ならではの視点で実用性の高い服を編むことができるのも、マザーズタッチさんの強みの一つだと感じます。
オーダーメイドは少し気が引けるという方は、
毎年7月・11月に開催している展示会に足を運んで商品を実際に見てみるのもおすすめ(^^)
日程が決まれば、manaponoでも随時お知らせします!
“オーダーしてみたい!”
“まずはどんなセーターなのか見てみたい!”
そう感じられた方は、気軽に小松さんへご連絡ください。
工房で小松さんとお話しながら、サンプルを見せてくれますよ(^^)
羊の毛から毛糸を紡ぐ、糸紡ぎ体験もできるそうです…♪
小松さんからのメッセージ
寒い冬を越した羊の毛は春に毛刈りをし、春から夏の野の花や木など植物から色を貰います。
そこから紡いで糸になるのは夏の終わり頃でしょうか。
さぁ、北風が吹く前にセーターに仕立てなくては….
そして、いよいよ冬を迎えます。
一着のセーターはこの様に自然と共に四季を通じて出来上がります。
マザーズタッチのセーターは何十着もありません。人目を引く色もありません。
でも、どこの何でどのように作られたかは知ることができます。
きっと愛着のある、長く着る一枚になると思います。
そして、北海道の羊毛を使った糸紡ぎ体験をしてみませんか。
世界に一つのあなただけの小さな毛糸玉ができますよ。
Mother’s touch
小松 さえみ
インフォメーション
住所 |
〒064-0801 札幌市中央区南1条西28丁目1-6 祐興ビル 301 |
駐車場 | なし |
営業時間 |
※ご連絡ください。 |
電話番号 |
080-2872-7659 ※諸事情により、ご連絡は3月10日以降にお願い致します。 |
mothers.t128@docomo.ne.jp |
manaponoの輪~しょうけ屋
このコーナーでは、小松さんがオススメするmanapono仲間をご紹介♪
~紹介するお店~
手づくり雑貨
しょうけ屋
~推薦コメント~
マザーズタッチさんの工房の
丁度上の部屋にアトリエを構える
しょうけ屋さんは
自然素材で細かな作業から
アクセサリーやかごなど
手作業で作っています。
インタビューを終えて
食用に飼育されている羊の毛は、少し前まで何にもなることもなく捨てられていたんだそう。
それをなんとか譲ってもらうことからスタートしたマザーズタッチさん。
かつてはゴミとして処理されていた毛が、このように素敵なセーターに作り変えられるなんて本当に驚きでした。
私も含め、北海道に住む人は、北海道の外に住む人よりも
北海道の魅力に疎かったりしますよね。
それってすごく悲しいことです。
マザーズタッチさんのような地元の魅力に気づかせてくれるような活動がもっと増えれば素敵ですね(^^)
私もマナポノを通して、そんな気づきを与えられるような活動をしていきたいです….♪
manapono編集部 坂田